Seminar report

パーシャルデンチャー・テレスコープの臨床セミナー開催されました

パーシャルデンチャー・テレスコープの臨床セミナー開催されました

こんにちは。
IPSG事務局、稲葉由里子です。

2013年最初のセミナーが1月13、14日に『パーシャルデンチャー・テレスコープシステムの臨床セミナー』KaVo Dental systems Japanセミナールームで開催されたのでご報告させていただきたいと思います。

※セミナーに参加できなかった先生方に向けて、IPSGでは、パーシャルデンチャーを学べるDVDを販売しております。レジリエンツテレスコープ、リーゲルテレスコープ、コーヌスクラウンなど、技工士を招いたデモンストレーションも収録されております。
※動画で収録内容の一部を公開しておりますのでご覧くださいませ。

▼DVD「パーシャルデンチャーの設計と製作実習コース」
https://ipsg.ne.jp/dvd-buy/#vol3

パーシャルデンチャーの修復に際し、必要な知識と技術は、クラウンブリッジの要素から総義歯の要素まで必要です。

1歯欠損から1歯残存までそれぞれの欠損形態に対し、様々な種類があります。
咬合の崩壊を多くのケースで伴っているため、咬合の知識は必須となります。

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パーシャルデンチャーの設計の大切なことは、全身から診断し、三次元的に基準面を揃えることです。
咬合関係は、有歯顎もデンチャーも同じです。

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パーシャルデンチャー設計の順序について、大事な話がありました。

◆パーシャルデンチャー設計の順序

①維持と支持の概念を持つことが重要
日本ではすぐに、サベイヤーがでてくるが間違っています。(クラスプ)

②支持の設計が優先します(レスト)
日本ではレストはクラスプの付属品のような感じですが、レストが優先です。
なぜか、レストなしの線鉤を用いたりしていますが、レストはつけるようにしてください。
レストは力を伝達する役目、歯根の先端まで力を伝える役目を持っているので、レストの形はよく考える必要があります。
球面形成レストは歯軸に力を加えることができることも覚えておいていただきたいと思います。

③維持装置であるレストが最優先

④クラスプの付属品がレストではありません。レストが主役です。

⑤クラスプは義歯が外れないために必要なものです。

⑥テレスコープやアタッチメントは維持と支持を共有します。

ということで、ほとんどすべての症例を、稲葉先生は各種テレスコープで対応しています。
稲葉先生が留学していたチュービンゲン大学では、1967年からクラスプデンチャーは使われていません。

大学の教育にもないのです。
そのかわり、カバーデンチャーとワンピースキャストパーシャルに変わりました。

1967年に終わってしまった義歯が日本では依然として主流という、ドイツや先進諸国に比べ大きな遅れをとっているのが現状です。

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こちらは、ドイツの技工雑誌、Dental Laborです。
当時から、ドイツのコーヌスクローネはミリングを行っていましたが、稲葉先生がもっといい方法ないかな。
ということで、模型研磨器を開発しました。

ドイツでも、この研磨器は広まり、雑誌でも紹介されました。

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コーヌスクローネのクオリティーを決定するのは、内冠の研磨方法です。
内冠の表面を、確実な直線で仕上げる事です。

直線に仕上げるためにはフリーハンドではどんなに注意していても丸みが付いてしまい、不可能です。
フリーハンドの手研磨で曲線に仕上った物は、装着直後は維持力が出ますがしばらくすると維持力が落ちてしまいます。

従って、フリーハンドで研磨する方法を習った人は維持力を継続するのが困難であるため、コーヌスクローネの評価を落としてしまいました。

それに比較して器械研磨した物は、確実な表面の直線仕上げにより、永続性のある維持力が得られ、義歯を長期に使用する事が出来ます。

確実な方法としては、ミリングマシーンを使い表面を直線で仕上げる方法、あるいは稲葉先生が開発した横型研磨器を使う方法が有ります。

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この研磨器はディスクを回転させて、この表面に内冠の表面を当てると確実に直線に仕上がります。
研磨ディスクは荒研磨から鏡面仕上げが出来、簡便確実であるためにカボ社からのK9内冠研磨器として発売されました。

このためコーヌスクローネの本場ドイツで評判となり、海賊版まで売られる様になりました。

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そのため、稲葉先生はシュトゥットガルトのマイスターシューレに招待され、コーヌスクローネの研修を行った経験が有ります。

その後、この方法で国内で研修を重ねて来ました。

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鏡面仕上げした内冠に、パターンレジンで外冠を作成し、埋没剤をコントロールしゼロフィッティングさせたコーヌスクローネは確実に長期に使用する事が出来ます。

義歯装着後に安定した状態を得るためには内冠と外冠の間に隙間を作らないほうが結果が良いということで、『ゼロフィッティング』という考えが生まれました。

これには、様々な必須条件があります。

金属はゴールドを70パーセント以上を含有し、それに白金を加えた合金を使う。
ヴィッカーズ硬度250程度の時効効果(鋳造したまま放置し硬度を増す効果)のある金属を使用し、埋没剤の混水比の調節により1.5パーセントの膨張を得る。

これらの条件を満たすことで、ゼロフィッティングをさせることが可能であるということが分かりました。

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口蓋をいかに利用するかという事も、非常に大切です。
馬蹄形は最悪だということを覚えておいてください。

日本の大連結歯の設計はただ右と左をつなぐだけです。
3点支持の場合は、トーションバーやシュパルテを用いるは日本では全く知られていません。

そして、インプラントはパーシャルデンチャーの救世主かということについてもお伝えしたいと思います。

インプラントの応用によりパーシャルに変革が起きました。
特に遊離端義歯のアンカーとしてしようすることによって、粘膜の沈み込みが抑えられ、義歯の確実に安定し、骨吸収が抑えられるようになったのは革命的です。

パーシャルにとって最も難しいと言われる3点支持の場合でも、4点支持にすることが可能で、最も安定した形となります。

少数歯残存の上顎パーシャルにとっての床の適応は必須条件であるが、インプラントにより取り除くことができます。
稲葉先生の息子であり、口腔外科医の稲葉智弘先生と、現在インプラントとテレスコープのコンビネーション症例を行っています。

このような症例は、本場ドイツでも多くみられます。
当時、日本で多く行なわれている方法を見直す目的で「正統派コーヌスクローネ」という本を出版しました。

このたび一部を復刻し、研修受講者に読んでいただける様にしました。
ドイツから帰国後多くのコーヌスクローネを使用した補綴物を行って来ましたが、その多くが今でも機能しているのが事実です。

是非、正しいコーヌスクローネを使用した補綴物を行っていただけるように願っています。

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そして、今回2日間にわたり、岩田副会長が、各種パーシャルデンチャーへの対応、リーゲルテレスコープ、コーヌスクローネ、レジリエンツテレスコープについてのお話しがありました。

沢山の症例を用いて、わかりやすく説明がありました。
動画を用いて、患者様の実際の感想、そしてリーゲルテレスコープの着脱法など、新たな視点で、大変勉強になりました。

これから、定期的に岩田副会長のテレスコープセミナーも開催していきたいと思います(^_-)-☆

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今回から初の試みとして、セミナー最後の1時間を症例検討会と言う形で、先生方と一緒に考える時間を作らせていただきました^_^

トップバッターは、IPSG事務局長、稲葉智弘先生です。

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ある、歯科雑誌で掲載されていた内容について、とても興味深いもので、改めてコーヌスクローネの基本知識について学ぶことができました。

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そして、技工士の先生も数多く出席いただいたため、製作する立場からのアドバイスもいただくことができ、大変勉強になりました。

三橋学先生です☆

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初めて参加いただいた、高瀬直樹先生の症例相談です。
「とても悩んでいた症例なので、とても助かりました。」
と、コメントをいただきました。

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その他の先生方からの活発な質問に答えている稲葉先生。

今回やはり、初参加で北海道からご参加いただいた小畑俊剛先生
「今まで歩んできた道は間違えてないと確信し、帰りの飛行機の中でなんとも言えない至福感を覚えました。歯科医師になって本当によかったです。」
というコメントをいただき、今回のセミナーを開催させていただくことができて、本当によかったと感じました。

次回、2月10.11日(日・月)に開催される『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』、ほぼ定員に達していますが、若干名なら受け付けております。

記事をお読みになって、実践で学びたい!と思われた方はぜひご参加ください!
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◆テレスコープシステムに対して疑問をお持ちの先生方へ
間違った方法が広まってしまったために評判を落としてしまったテレスコープ。
1980年代臨床家の間に広まったコーヌスクローネについて、
疑問をもたれている先生に、なぜそのような評判になってしまったか、
ということを稲葉繁先生が詳しく解説するページを作成しました。

ページの中では、
1.テレスコープシステムの歴史とコーヌスクローネへの誤解
2.ドイツでのコーヌスクローネの扱われ方
3.日本でのコーヌスクローネの扱われ方
4.今後のコーヌスクローネの活用方法

について、詳細な説明をしてあります。
ご興味のある方はぜひご覧になってくださいね☆
テレスコープシステムに疑問をお持ちの先生方へ

それでは、今回ご参加いただいた沢山の先生方、本当にありがとうございました。

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