Seminar report

’15 3/8(日)『顎関節症の臨床と治療』開催されました

’15 3/8(日)『顎関節症の臨床と治療』開催されました

平成27年3月8日
顎関節症の基礎と臨床の講習会
レポート:歯科技工士/中沢勇太先生

2015年3月8日、霧雨の末広町、IPSGセミナールームにて『顎関節症の臨床と治療』セミナーが開催されました。

今回も22名の先生方にご参加頂き、とても盛況となりました。顎関節の治療は明確な治療計画を立てるのが難しいと聞いており、先生方もお困りの症例が多いのではないかと思います。稲葉繁先生の講習はそんな難しい顎関節症を、稲葉先生の成功例や経験をもとに、筋肉や顎関節、神経に至るまで詳しく解説して頂けるので、顎関節症を治療する道しるべになるのではないかと思います。

技工サイドにおいても、自分の製作した歯科技工物が原因で顎関節症を引き起こしてしまう事が無いように、正確な咬合様式を与えなければなりません。そういった時に、口腔周囲筋の機能や顎関節と咬合の関係を学ぶことはとても重要であると思います。

午前中は稲葉繁先生による講義から始まりました。近年顎関節症に関して、触らない方が良い、咬合調整は必要ないと言われることがありますが、歯科医として患者の治療をする上で、患者の状態を正確に分析、把握して、包括的な歯科治療を行わなければなりません。

咬合診断を行った上で咬合調整を行うことによって全身のバランスを整える事が出来る事は、臨床で証明されております。今回の講習ではそれらの治療の基礎となるべき知識についての講義から始まりました。

 ~顎関節症の源流をもとめて~
顎関節症の歴史を振り返ってみると、1936年のコステンにより提唱された、咬合を拳上することにより難聴が治療出来る事が受け入れられたコステンシンドロームに始まり、下顎運動を機能的に咬合に結びつけたスカイラー、日本においても石原先生のように顎機能と咬合について積極的に研究がなされてきたことが分かります。

近年の咬合学の基礎となったナソロジーも時代と共に考え方も変遷が見られ、咬合学がとても難解かつ生体にとって重要であったかを知る事ができました。IPSGで咬合調整に用いられるギシェー法を作ったNiles F Guichetについても詳しく知る事ができました。

続いて顎関節症についてのお話がありました。生理的機能と歯軋りなどの病的機能の違いを見る事で、異常な力や意外性のある梃子現象が起こっているかが分かります。それらをどう正常に持っていくかが顎関節の治療であるとおっしゃっておりました。

私も以前、咬合に早期接触を起こす部分があり、全身のズレが発生しておりました。その際には家族から歯ぎしりがうるさいとよく言われていましたが、咬合調整で早期接触を除去し、2級の梃子を3級に治すことで、肩こりが減り、歯ぎしりが少なくなった実体験があります。

やはり咬合と顎関節症には関係があるのではないかと思いました。また舌癖がある事で筋肉の収縮が起き下顎が一日に800回以上も余分に動き、正常な人よりも悪性の梃子現象の影響を受けやすく顎関節症になりやすいことも教わり、様々な要因が顎関節症に影響しているのだと分かりました。

 

午後 岩田先生による講義

最後にIPSG副会長である岩田光司先生による講義がありました。岩田先生も16年前から稲葉先生の元で学んでおられる先生で、顎関節症に関してのエキスパートであります。ここまでの講習会の内容を、分かりやすくまとめていただき、復習することができました。どうやってあのような綺麗な絵がパソコンで描けるのか教えていただきたいです。

臨床例は関節円板の前方転位のある患者様から始まりました。分かりにくいレントゲン写真も画像処理により関節結節と顆頭の接触を見て取る事ができました。PDRインサートのダイヤルと顆頭拳上量の関係を図式化され、治療においてPDRインサートを使う意義についても詳しく説明されており、さらに深い内容となっておりました。

2例目は通常の開口では22㎜しか開かないのですが、顆頭を前方に誘導してから開けると44㎜開口する患者様でした。どうしてそのようなことが起こるのかの診断して行くところから始まりました。

咬合器に装着して診断したところ、臼歯部の早期接触のある1級の梃子が発生していることが原因でした。この接触を咬合調整にて削除することで開口障害を治療していました。その過程を動画を用いて発表されており、とても説得力がありました。

素晴らしい講演を有難うございました。

レポート:歯科技工士/中沢勇太先生

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