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Q:コーヌスクローネの利点や欠点を教えてください。

Q.先日セットした、コーヌスクローネの維持力が弱く感じました。どのようにしたら、改善されるでしょうか。また、コーヌスクローネの利点や欠点など教えて頂ければと思います。
A.
コーヌスクローネを最初に経験したのは1978年にチュービンゲン大学のエーリッヒ・ケルバー教授のもとでドイツの補綴を学んでいた時のことでした。1人の患者を担当した際、下顎の両側欠損で左側は4・5・6欠損、右側は4・5欠損のケースでした。

それまでクラウンブリッジを教えていた関係で、このケースは両側に二つのブリッジを行えば問題無いと思っていました。

しかし、ケルバー教授から『両側にコーヌスクローネを適応し、左右にビューゲル(リンガルバー)で連結。4点支持の可撤式ブリッジを行った方が頑丈で長持ちのする補綴が出来るから、そうした方法にしなさい』と教わりました。

それまで、日本では可撤式ブリッジという考えは全く持っていませんでした。

パーシャルデンチャーでは欠損部に床を付けることが一般的に行われますが、固定性の場合には床を付けることは衛生面で出来ません。

可撤式ブリッジの場合には床を付けることが可能となります。また固定性ブリッジの場合と同様に床が無くても可撤式にする事もできます。両側欠損に行ったコーヌスクローネのブリッジでは鋳造バーにより左右を連結し、4点支持の安定したデンチャーを作製する事ができました。

このケースを経験してテレスコープの臨床術式をすべて学ぶことが出来ました。

コーヌスクローネを行う最も重要な事は内冠の研磨方法です。この時はまだコーヌスクローネの研磨器械は存在しなかったので、ミリングマシーンを使用して正確に6度のコーヌス角を付与していました。その後内冠を試適し、オクルーザルコアを用いて固定した後、外冠製作用印象を行い、外冠を製作義歯を完成します。

これがオリジナルの方法です。

帰国後、日本でもコーヌスクローネが行われるようになっていましたが、その方法は私が学んだ方法とは全く異なっていました。

特に異なっていたのは内冠の研磨方法、外冠の製作方法、適応症と設計でした。

最近ではコーヌスクローネは既に過去のもので、現在はあまり使われていないという評判がありますが、間違った方法を学んだ人ほどそのような考えを持っているようです。

コーヌスクローネの支台歯は可能な限り有髄歯を用いる事が大切ですが、コーヌスクローネを適応する場合は抜髄する必要があると、間違った情報が広がっているようです。

出来る限り有髄歯を使って下さい。

内冠外冠の維持力は700g が適当だと言われています。維持力を落とさない為には内外冠の精度をゼロフィッティングで作ることが理想といわれています。テクニシャンと相談して製作条件を研究する必要があります。

維持力が落ちたものを回復させることは殆んど不可能と考えて下さい。コーヌスクローネは、支台歯を連結することは出来ません。

従って、一次固定ができません。支台歯を連結、一次固定する場合にはリーゲルテレスコープが最適だと思います。

テレスコープシステムには適材適所に使われる多くの種類がありますのでぜひ、IPSGで学んで下さい。

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左右のコーヌスクローネにビューゲル(リンガルバー)をつけることで、4点支持が得られる。という考えは、正に頑丈で長持ちする義歯を設計するドイツ人らしい考えですね♪あたらめて、今回の回答を読み、ドイツの技術は素晴らしいと感じました(^_^)

コーヌスクローネに関してはこちらに詳しい記事があります♪
合わせてご覧頂ければと思います。

▼テレスコープシステムの歴史とコーヌスクローネへの誤解
https://ipsg.ne.jp/telescope/

また、IPSGではコーヌスクローネを詳しく解説した書籍を販売しております。
ぜひご活用頂けますと幸いです。

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