Q.接着ブリッジについて、稲葉先生はどのようにお考えでしょうか。ご見解をお聞かせいただければと思います。

Q.接着ブリッジについて、稲葉先生はどのようにお考えでしょうか。
ご見解をお聞かせいただければと思います。

A. 接着ブリッジは1960年に東京医科歯科大学の理工学教室増原教授らによって、MMA(ポリメチルメタクリレート)モノマーの中に、トリーN-ブチポラン(TBB)を重合開始剤に用いて、象牙質のコラーゲンとレジンとの接着現象を見出して以来急速に研究が進展したもので、矯正用のブラケットの接着、クラウン、ブリッジの接着に用いられるようになりました。

その方法としては歯の表面のエナメル質、支台形成後の象牙質の表面を酸エッチングして表面の有機質を溶かし、100μ程度のレジンタグを作り歯質と金属を接着させるものです。

開発当初は歯の削除量が少なくて済み、多くのケースに使われましたが、数年すると補綴物は脱落してしまい、最近では接着ブリッジはほとんど使われなくなってしまいました。

脱落の原因にはいくつかの原因がありますが、多くは術者の接着技術によるものでした。

すなわち接着疎外因子のコントロールが悪かったと思われます。

1.酸処理後の不十分な水洗
2.酸蝕面が呼気、唾液、滲出液などによる汚染
3.酸蝕面のタービンオイルなどの汚染
4.補綴物の設計ミス
などがあり、脱落する結果となり最近ではわが国ではほとんど見られなくなりました。

ところが2016年の顎咬合学会のシンポジウムの講演でドイツの技工マイスターである大川友成先生の発表を聞く機会があり、内容が接着性ブリッジでありました。

その素晴らしい接着性ブリッジの応用方法に驚かされました。

従来は、前歯一本欠損の場合に二本の支台を用いるのが普通でした。
しかし、そうするとスリーユニットのブリッジとなり、
両支台歯の力の関係でどちらか一方の接着が外れてしまいました。

大川先生は、一本もしくは二本を支台として使用し、遊離端にして置く方が長期間使用できるという新しい知見を発表されました。

私はそのような考え方もあるのかなと思い、後にそのことを大川先生から聞いて見ましたところ、彼は現在キール大学のキャーン教授と一緒に仕事を行い、多くのケースで接着ブリッジを装着しており、その多くは遊離端であると述べていました。

今回、大川先生、キャーン教授の取り組みを聞くことにより新しい接着ブリッジの世界が開けてくると感じました。

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