Seminar report

『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナー第2回【前半】

『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナー第2回【前半】

IPSG事務局、稲葉由里子です。
先日、開催された『成功曲線を描こう』石原明先生+稲葉繁先生コラボセミナー第2回の模様をお伝えしたいと思います!

前半は、稲葉先生『正統派コーヌスクローネ』そして後半、石原先生の『潜在意識の話〜目標を右脳にインプットする〜』ということで、一日お話いただきました!

セミナーの報告も前半、後半に分けてお伝えいたします。

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IPSGの新しいセミナールームでは、稲葉先生の手元が、60インチの液晶テレビに大きく映し出されるため、まるで実習を受けているかのように先生方に学んでいただくことができました!

今回のセミナーでは、コーヌスクローネの内冠製作方法、そしてコナトアの使用方法について詳しくお伝えさせていただきました。

コーヌスクローネは、補綴物が長期間にわたり正常に機能し、口腔内にとどまるのは正しい臨床操作と技工操作が行われて初めて達成されます。

コーヌステレスコープの場合、内冠製作から外冠製作、患者様への装着がいかにされたかが重要であり、よい維持力が発揮されるのは、正しい方法で正確にコーヌス角度が与えられ、これがコーヌスクローネに適した金属で製作されたか否かによるものです。

現在、最も問題とされているのは、維持力に関することであり、維持力が強い場合、あるいは弱い場合どのように対処するか、また維持力調整の前提として正しくコーヌスクローネが製作されたかどうかです。

製作の容易さという事から、コーヌスクローネのような形をしていても、実はコーヌスクローネではない補綴物が沢山出回った事から、その評判を落としてしまった事は残念なことです。

ぜひ、『正統派コーヌスクローネ』を身につけていただき、患者様に長く使っていただける様な治療をしていただきたいと思います。

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コーヌスクローネの維持力を確実に発揮させるためには、内冠の製作をいかに正確に行うかが重要です。
言いかえれば『コーヌスクローネの生命は内冠の軸面出しにあり』と言っても過言ではありません。

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支台形成、印象採得の後、内冠作製用の模型上で、コノメトリーという操作を行います。
※コノメトリーとは、コーヌスの装着方法を決定するための操作で、6度のワックスシャーバーを使い内冠の厚みが一定の厚みで歯頸部がもっとも薄くなり、アンダーカットができない位置を計測する方法です!

6度のワックスシャーバーで、全周を削りだします。

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不平行支台の時、歯頸部にネガティブビンケルという不潔域が生じます。

このネガティブビンケルを解決するために、当時、西ドイツの技工マイスターH.Pfannenstiel,R.pflaum,機械工学マイスターH.Breitfeldらによってコーヌス形成用装置である『コナトア』が開発されました。

稲葉先生が指を差している、6度の範囲で自由に調節できる雲台で、ネガティブビンケルの少ない正確な物が製作可能となり、大幅に作業能率が上昇しました。

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こちらのパワーポイントは、IPSG副会長、岩田光司先生からご提供いただき、岩田先生に講義をしていただきました!

前歯および臼歯を支台としたコーヌスクローネの場合、補綴物の装着方向に対してコーヌス角度を与えようにも前歯と臼歯の歯軸が一致していないため、前歯の歯頸部に多くの金属が露出して審美性を阻害したり、また、臼歯の遠心歯頸部にネガティブビンケルを生じて不潔部となる危険性が高くなります。

このようなとき装着方向に対して平行性を失わなければ、6度の範囲で自由に雲台を操作し、各歯牙の最も適正な内冠の形成が出来るのがコナトアの特徴です。

たとえば装着方向に対し、6度のワックスシェーバーを用い内冠のワックスアップを行ったとき、その内冠は装着方向に対し6度の余裕があります。

そして、内冠の軸面の一方を装着方向に一致させると、反対側の軸面には12度の傾斜が生まれる事になります。
しかし、これにより補綴物の装着は何ら阻害されないし、コーヌスの維持力も薄れません。

つまり、各支台歯の各軸面がもつ装着方向に対する6度の余地は、内冠の厚みを均一にし、審美性をよくする上で利用できることになります。

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『コナトア』の使用方法を述べたいと思います。
印象採得された模型は前歯と臼歯で互いに平行性が認められない事が多いです。

模型を上方より観察し、全体的に平均した内冠の厚みがえられるよう補綴物の装着方向を決定した後、これを雲台にのせたままコナトアに載せます。

模型を載せた雲台の下に6度の範囲で傾斜が出来るように調整したコナトアを設置した後、各歯牙の最適な内冠の厚みをコナトアを傾斜させることによって測定します。

最初に前歯の測定を6度のワックスシャーバーを使って行うと、唇側歯頸部にアンダーカットを生じるため、模型全体を臼歯の方向に倒し、前歯を垂直に近づけます。

その後、6度のワックスシャーバーを用いて内冠の形成を行うと、均一した厚みでしかもネガティブビンケルの最も少ない内冠が得られます。

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その際、臼歯の遠心には大きなアンダーカットを生じるため、コナトアを前方に倒し、臼歯部を垂直に近づけ、アンダーカットを少なくし、6度のワックスシャーバーを用いて内冠の形成を行います。

次いで、他の歯牙に対しても最も内冠の厚みを得た歯型は一見バラバラなようですが、装着方向に対して平行性を失っていなければ補綴物の装着に何ら支障は生じません。

外冠がすべて連結され一体となった補綴物は内冠どうしは平行になる場所が出来ますが、装着方向に対して一致しているため、着脱は可能です。

コーヌスクローネの内冠製作上、最も大事なことは、ワックスアップされた軸面の仕上げがいかに正確に出来るかということです。

最初にお伝えした通り、鋳造された内冠の軸面出しをどのようにすべきかということです。

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使用金属は、できる限り白金加金を使用すること。
100%時効硬化ができるものであればさらに望ましいです。

コーヌスクローネのトラブルの第一は、装着後の維持力劣化にあるとされています。
硬度の高い弾性のある金属が適しているため、パラジウムのような金属では調整はほとんど不可能です。

研磨に関しては、内冠に付与したコーヌス角度を正確に研磨することが必要です。

こちらは、稲葉先生が開発した、横型研磨器です。
当時KaVo社からK9研磨機として販売されていましたが、今では他社でこれを真似た研磨機が販売されています。

稲葉先生が開発した横型研磨機を回転させながら、水平に固定したハンドピースの先端に取り付けた円盤の平面を当て、モーターで高速で回転させて内冠の研磨を行うものです。

時間的にも節約できると同時に、仕上がりも理想的で鏡面仕上げが可能です。
また、取り扱いも簡単で、初心者にも失敗なく正確に軸面出しが出来るところが非常に魅力的です!

一度に何本支台歯があっても接着方向を決定したならば、常に同じコーヌス角度で一定の研磨が可能です。
研磨を行う軸の調整により、希望のコーヌス角の付与も簡単にできます。

まだまだ、コーヌスクローネについてお伝えしたいことは沢山ありますが、詳しくはすべて
『正統派コーヌスクローネ』
の書籍で学んでいただく事ができますので、よろしければお買い求めください!

また、ぜひIPSG20周年、チュービンゲン大学補綴科H.Weber教授と稲葉先生の特別記念講演にいらしていただきたいと思います!

こちらからチラシをご覧頂けます!
IPSG20周年特別記念講演

ということで、後半石原明先生の講演へ続きます。

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