IPSG会員インタビュー:木谷光輔先生(木谷歯科医院 院長)

①IPSGに入会したきっかけ
そもそも、IPSG包括歯科医療研究会の存在を知ったのは、故岡部俊一先生の紹介からでした。

当時、歯科治療で悩んでいた答えが岡部先生の考え方や治療の中にあるように感じたので、そのルーツはどこにあるのか?という質問に対する返答が稲葉繁先生とIPSGの紹介だったのです。

まず、私自身のバックボーンを話しますと、

◆これまで見たこと、接したことのあるテレスコープは稲葉先生の言うところの、なんちゃってコーノス(フリーハンド研磨)であったこと。

10年以上の経過良好例はあまり聞いたことはなく、むしろ経過不良例が存外多いらしく、素晴らしい治療方法なのに「何故なのか?」と不思議に、疑問に思っていた。

◆私自身が顎関節症で、顎関節症治療や咬合治療に大変興味があり、ライフワークと思って取り組んでいた。

特にジャンケルソン理論に傾倒していて、米シアトルのセンターメンバーや、ICCMO(国際顎頭蓋機能学会)のフェローメンバーでもあったが、治療成果を出すのに非常に時間がかかっていた点と、どうしても改善しないパターンがあり、治療に行き詰まりを感じていた。

稲葉先生との初めての出会いは、岡部先生のアドバンスセミナーの講師としてでした。

2009年7月26日。このときに予防補綴という概念を初めて耳にし、印象深かったのを覚えています。

「これまでのコーノスは、コーノスではなかったんだ…。コーノスの他にもテレスコープってあるんだ。なんかリーゲルテレスコープって凄そう!奥が深いなー」などと気楽に興味津々に思ったものです。

今この文章を書いていて懐かしく感じます。

本格的にIPSGに参加し始めたのは翌2010年6月の総義歯セミナーから。
その約1年の間にも、紆余曲折があったわけです。歯科医師人生に待ったなし、です。

稲葉先生考案の上下顎同時印象総義歯を学び、実際の患者さんに目の前で治療する現場を目撃し、共通体験したことで、この先生は本物だ…と感じました。

「稲葉先生に学びたい!」と、切実に思いました。

開業していなければ、稲葉歯科に勤務してでも実際の臨床をもっとこの目で見たい。

大学卒業してすぐに稲葉先生と出会いたかった、とさえ思いました。
「稲葉繁先生に惚れ込んだ」というのが、私のIPSG入会のきっかけです。


②稲葉先生について
「ゼロを知る…」
なかなか難しい言葉です。

不在の証明が最も難しいと言われますが、原点に立ち返るのはなかなか容易ではないのが世の常です。

しかし、原点無きところに進歩も改善もありません。

稲葉先生と出会い、その人柄を知り、薫陶を受け、その深い知識や技術、豊富な経験と見事な治療実績、それらを裏付ける圧倒的な歯科学に対する深い理解を垣間見る度に、この言葉が頭に浮かびます。

私が学び、卒業した母校でもそうでした。

博士号をとった第二の母校でもそうでした。

卒業し、勤務した歯科医院でもそうでした。

咬合の勉強に行った高名な先生の中にもいました。

歯科ともっとも深い関わりのある分野、咬合学。

その咬合の基礎中の基礎、咬合を理解するのに不可欠ともいわれる咬合器。

世界中で、長い歴史の中で、発達してきた歯科学問の中核を担うであろう咬合器を軽視する環境・臨床現場(教育現場でもそうでしたが)に、長年疑問を抱いていました。

稲葉先生の考え方、実践されている治療法。
私には全てが、これぞ「本物の歯科治療」と感じられました。

皆が目指すべき、患者さんが本当に求めているホンモノ。
稲葉先生に教えてもらうことで、私はゼロを知る機会が得られたのだと思います。

歯科の達人というよりも、人生の達人。
私にとって、そんな存在です。


③実際に役立ったこと
私は、稲葉先生の教えを、総義歯から受けました。
たまたまだったのですが、素晴らしい巡りあわせだったと思います。

歯科学とは咬合学です。
咬合を理解するのに、総義歯ほど、うってつけのものはないと思います。

一見素晴らしい補綴をしても、咬合の調和がとれていないとトラブルが生じます。

それはテレスコープでもインプラントでも、1歯セラミック治療にしても同じことだと思います。

顎関節症治療などは、咬合の調和の最たるものでしょう。

物事には順番があり、人には取り巻く環境があり、そして人生には時間があります。
タイミング、と言い換えてもいいかもしれません。

私にとって、稲葉先生やIPSGとの出会いは、ベストタイミングだったように思います。

総義歯学・吸着総義歯・総義歯の咬合・診断学・セントリックへの理解・診断術・診断法・テレスコープ各種・その設計と考え方・テレスコープ技工・ラビリントレーナー・シリコン印象法・咬合調整の仕方・顎関節症の理解・顎関節症治療・駒形理論・咬合の調和ありきたりな言い方になりますが、なにひとつ無駄だったことはありません。

役立ったことばかりです。なにより、最も重要な点は勉強した内容を実践するのに敷居が高くないということ。

「勉強しにきたのだからそれが普通・当然だ」と、稲葉先生は言うでしょう。

しかし、普通そんなことないのは皆さんご存知のとおりだと思います。

歯科学の根源につながるところ、もっとも重要なところが学べ、即座に実践できる。

今後の私の歯科臨床の、目指すべき本物の歯科医療のルーツを知り得た。
歯科医師として素晴らしい宝物を戴いた、そう思います。

卒業後歯科医師として10年、経験を積みつつ、勤務医を経て開業し、色んな勉強(JIADS、SJCD、筒井塾など)をしてきて、それらを実践し取捨選択し、色んな成功体験・失敗体験を経てきて今の私があります。

もしかしたら今だからこそ、稲葉先生の凄さを実感できるのかもしれません。

そう考えると、これまで努力してきたことは一切無駄ではなかったはずだし、今そしてこれから実践していく稲葉先生の教えも全てがホンモノの歯科治療につながる道程のはずです。

しかし、もし私が後進の先生に「どの勉強会がおススメですか?」と聞かれたら、迷わずIPSGの名を最初に挙げると思います。

=========================
木谷先生のこの文章を読んで、刺激を受ける先生も多いことでしょう。
木谷先生はおだやかにみえて、とても情熱的な方です。

患者様のための努力も日々惜しまないのでしょうね。
先生からいただいたご感想はIPSGの宝です!
(稲葉由里子)

カテゴリー: インタビュー, 歯科医師   パーマリンク
ȋZH Weber dental labor