Q.シュトラックデンチャーと従来の総義歯との形の違いについて教えてください。

Q.シュトラックデンチャーと従来の総義歯との形の違いについて教えてください。

A.従来の入れ歯と比較すると、下顎の形が特に異なっています。

従来は、入れ歯の揺れを抑えるために、舌の奥の顎舌骨筋窩まで床を伸ばしていました。

ですが、この形状の場合、大きく口を開けたときに浮き上がることが多く、舌を前方に出したとき義歯が外れやすいのです。

それに対して、上下顎同時印象法によるシュトラックデンチャーは、舌の前方の舌棚、サブリンガルルームを利用することで、顎舌骨筋窩を使わないため、舌が自由に動けるようにしました。

そして床の面積を大きくすることで義歯の吸着力も高まります。

頬の筋肉の力や、唇や舌のサポート力も義歯の吸着力を高め、それらの力のバランスが保たれているところに人工歯を並べると、吸着力がある義歯ができあがります。

逆に、これらのバランスが取れていないと、笑った時に下の歯しか見えなかったり、咬合高径が低く顔がつぶれたように見えたりします。

義歯は、笑った時に、上下の歯だけが少し見えるように作るのが理想的です。

また、これまでの総義歯はスイスの歯科医師ギージー(Alfred Gysi)による歯槽頂間線法則が基本となっていました。

ギージーは近代総義歯学の基礎を築き、大変素晴らしい業績を残しました。

ギージーの歴史は、現代の歯科医療の財産であると言っても過言ではありません。

しかし、そんなギージーによる歯槽頂間線法則も完璧ではありませんでした。

歯を失うと、骨が吸収して顎が小さくなります。

通常の排列では、上の歯が下の歯を覆う形となっていますが、ギージーは、顎の骨が小さくなっている状況で作られる総義歯においては、交叉咬合に歯を並べるとよい(歯槽頂間線法則)としました。

しかしこれが、ギージーの総入れ歯の弱点ともいえるのです。

ギージーの排列では、入れ歯の維持において頬の筋肉のサポートが得られません。

さらには、どうしても頬側に食べかすが入りやすくなり、口の中に常に食物が停滞した状態になります。

一方、シュトラックデンチャーの場合は、筋肉の圧のバランスがとれたところ、つまりは、もともと歯があった場所に人工歯を並べるため、筋肉のサポートによって入れ歯を安定させることが可能となります。

十分床に厚みをつけるので、食物が停滞する隙間も封鎖します。

そして、生来の歯があったときと変わらない表情を再現することも可能となります。

ぜひ1度、上下顎同時印象法によるシュトラックデンチャーの素晴らしさに触れて頂きたいと思います。



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