’17 5/28(日)『ハーモニックオクルージョン~審美と咬合のハーモニー~』開催されました

レポート/Weber Dental Labor Gmbh 歯科技工士 石川太一

2017年5月28日に行われましたIPSGセミナー、ハーモニックオクルージョンの模様をご報告させていただきます。

本セミナーは、IPSG代表稲葉繁先生の審美に対する哲学が凝縮された講座です。


歯科医療における、根本的な美に対する考え方や分析、より実践的なイルージョンの応用、歯冠修復物の黄金比などを知ることにより、直ちに臨床の現場で用いることができます。

まず最初に、稲葉繁先生より、日本と西洋の美の違いから始まり、神授比例法とも呼ばれる黄金比についての解説がありました。

自然界にはこの比率が多く存在し、過去の名画における分析においてもこの比率は当然のごとく使用されています。

その比率を歯科にも応用し、前歯部における大きさの指標として用いています。


また、喜怒哀楽を決定する目と口について、おかめと般若のお面を用いて、分かりやすく解説していただきました。



さらにゲーテの色彩学を引き合いに出し、シェードテイク時に重要になる、残像について触れられました。

残像の影響を最小限に抑えるためには、10秒以内にシェードテイクを終えることが重要とのことでした。


その後、歯列の審美分析時に使用されるアピアランスガイドとその使用法を解説していただきました。


午後からは、IPSG副会長岩田光司先生より、実際の臨床症例を参照しながら、ハーモニックオクルージョンとは何かとの解説をしていただきます。


ハーモニックオクルージョンとは、前歯部において唇側の審美性と舌側の機能性を分析し、臼歯部において顎関節を意識し、顎口腔系の梃子作用を理解した分析を行い、前歯、臼歯部の調和のとれた咬合接触と誘導を作ることです。

その中でも重要なのは、関節円盤であり、それを安定させるための顎関節とアンテリアガイダンスの関係が大切になります。

そのような関係を診断するための、咬合器とフェイスボウについても解説していただきました。


次に、アルフレッドギージーやランディーン先生の提唱された、矢状顆路やISSを解説していただきました。


又、オーバーバイトとオーバージェット量、アンテリアガイダンスの実測値などを具体的な数値で表されました。

各種梃子作用や、将棋の駒理論、咬合高径を決定する際の高さなども、分かりやすい例えとともに説明してくださいました。

その後、受講生の皆さまに歯列がプリントされた用紙をお配りし、実際のアピアランスガイドを記入していただくことによって、より深く理解していただけたかと思います。


5分間の休憩の後、実際の臨床症例に移りました。

最初に、全顎的な補綴による修復を行った症例です。

まずは模型上での診断を行います。
基準となるカンペル平面や咬合平面、咬合高径、オーバージェット、オーバーバイト等を観察し、基準値と照らし合わせて診断します。

その後、梃子作用も診断し、それを踏まえてテンポラリー制作の後、完成となりました。



この患者様は、施術後12年経過しているそうですが、大きなトラブルもなく、現在に至っているとのことです。


適切な診断と治療が行われていれば、長期症例になりうることを証明しています。

次に、前歯が折れたため、審美的に治療したいという、若い女性です。

通法どおり、模型診断を行い、歯列分析を行います。
顎機能計測機アルクスディグマを用いて、顎関節の誘導を確認します。


その後側方運動を咬合器上で確認し、梃子作用の有無を診断します。

審美の状況も模型上で確認します。


このように、ただ単に破折した部位を治療するだけでなく、咬合も含めたトータルで診断し治療することによって、より患者様にとって最適な医療が行われているとのことです。

次に前歯が外れそうで、見た目をきれいにしたい67歳女性です。


模型診断を咬合器上で行い、患者様自身による選択でインプラント治療の後、メタルボンドポーセレンを制作しました。


そして30代男性で、前歯の見た目をよくしたいという患者さんの症例です。

アルクスディグマによる診断、フェイスボウの後模型を製作、咬合器にマウントし、オーバージェット、オーバーバイト、歯列と梃子作用の診断を行います。

今回の症例はイリュージョンを使用したメタルボンドポーセレンにて制作いたしました。


最後に、上下同時印象によるレジリエンツテレスコープによる症例です。

レジリエンツテレスコープだけでなく、上下顎同時印象法も加わった施術は、多くのIPSG独自のエッセンスが凝縮されています。


岩田光司先生による臨床症例を交えた講義は、多岐に及ぶ理論や技術が、ちりばめられています。

しかし中心にあるのは、IPSG包括歯科医療研究会の考え方であり、その基軸がぶれていない為に、どのような症例にも対応できる柔軟性を内包しているのだと感じます。


小休憩の後、岩田先生に代わり、再び稲葉繁先生による、「審美はどこまで」というテーマでお話いただきました。

18歳女性の前歯部の審美的回復です。
支台歯形成の方法や印象法をご説明していただきました。



最後に、質疑応答の後、閉会となりました。


<<受講された先生方のご感想>>

▼3〜4年前に稲葉先生のセミナーや内容や今までおこなってきた業績等をたまたまwebで見たのがきっかけでした。

多くの素晴らしい先生がおられますが、ずっと疑問をもっていた咬合の答えはここにあるのだろうと思ったのを覚えております。

やっと今回セミナー参加できました。
今後は他のセミナーも参加しながら認定医コースも取得したいです。
とにかく明日からの診療、日々が楽しくなっていきそうです。

▼審美というものに対して、ただ前歯部の見え方(色彩、明度+形態)だけを指し、機能を分けて考えていた所があったが、顔面(上、中、下顔面高、口唇等)などとの関係、機能との関係の上でバランスをとって成り立つものであることをよく知ることができた。

閉口印象として上下顎同時印象の利点について知ることができ、(総義歯のケースで)その方法について次回もっと詳しく知りたいと思った。

▼有歯顎から部分欠乏症、無歯顎症まで幅広くオクルージョンについて学ぶことが、咬合に対する意識が更に強くなりました。

▼審美には、関節との調和等、機能が伴って初めて価値がでると感じました。

▼絵画の話が面白かったです。
日々の仕事にも美に対する感覚を活かしていくことが大切だと思いました。

▼再認識、または新しい知識等、充実した一日でした。
ありがとうございました。

▼歯列の基準線の引き方など、すぐに実践できることを学べ、有意義でした。またすぐに質問できる環境というのもよかったです。他のセミナーにも参加したいと思いました。

▼雰囲気の良いセミナーで大変勉強になりました。

▼黄金比の話が興味深かったです。
KaVoの咬合器が欲しくなりました。

▼美術学的な発送がとても新鮮で興味深かった。有難うございました。

▼今まで一度も聞いたことがない内容ばかりで面白かった。
自分でももっと今日聞いたことを勉強して、もう一度聞いてみたい。

▼デンチャー症例もあり、多分野に渡り勉強になった。

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