Seminar report

’14 11/16(日)『咬合診査・診断の入門実習コース』開催されました

’14 11/16(日)『咬合診査・診断の入門実習コース』開催されました

レポート:佐藤孝仁先生

咬合診査・診断入門実習コースは今年から開催された研修会です。講師はIPSG副会長であり稲葉繁先生のもとで15年学ばれていらっしゃる岩田光司先生です。

岩田光司先生

この研修は今年の7月に第1回行われ、おかげさまでキャンセル待ちになるくらい好評でした。お陰様で11月16日に早くも第2回の研修が行われることとなりました。

午前の研修

咬合の診査・診断を学ぶ前にまず、私達歯科医師はホメオスタシスの維持(呼吸系、循環系、排出系、食物摂取系など)の中の食物摂取系を担っているということを意識して歯科治療を行う必要があります。

ホメオスタシス

そして、ホメオスタシスの食物摂取系には細かく分けると摂食・咀嚼・嚥下・発音・審美など様々です。
このような食物摂取系の維持(口腔内の機能や審美)を治療していく上で、今回の研修でお話させていただく咬合の診査・診断を治療の基本として行うことがとても大切なのではないでしょうか。

では、咬合の診査・診断をきちんと咬合器を使用して、わかることは実際どのようなことでしょうか。

咬合診断でわかること
 
例えば、歯・歯列の接触状態や下顎位・下顎運動の状態を把握することが出来る様になります。他にも診断用ワックスアップを行った診療が出来る様になる、患者様に治療計画を説明する資料を作製できるなど、咬合の診査・診断をきちんと行えることで診療の幅が広がると思います。

咬合の診査・診断を学んで本当に実際の診療に活かせるのか、自分でもできるのかということを心配されることがあると思います。IPSGではKaVo咬合器を使用した診査・診断をするために必要な資料の取り方から資料をとった後の診断の方法について簡単に学んで頂くことができます。

もちろんKaVo咬合器の細かな説明をさせていただきますので、咬合器を全く知らないという先生でも学んでいただけるようになっています。
今回の研修では実際の岩田先生の症例を用いて咬合の診査・診断の流れを説明されました。
 
咬合器に模型を付着するにはフェイスボウの取り方、中心位の取り方、側方チェックバイトの取り方などを正確に学ぶ必要があります。特に、ホメオスタシスの維持においては体の軸(アライメント)を診るフェイスボウはとても大切です。

また、咬合を理解する場合、顎関節の状態を知る事は重要です。その際、筋触診は非常に有効な検査となります。顎二腹筋、胸鎖乳突筋、咬筋、側頭筋、内側翼突筋、外側翼突筋、僧帽筋など状態を把握することで顎関節の問題や歯列や咬合の問題も見えてきます。

また、顎関節部分をもっと知りたい場合などはレントゲン写真、MRI、CT、ドップラー聴診器を用いた検査が必要になります。そして、顎運動を知りたいという場合はKaVoのアルクスディグマを使用することもあります。

咬合診査診断実習コースの資料

顎関節部を検査する方法は色々ありますが、すべて行う必要はなく、患者様の主訴や状態に合わせて選択していただければ良いと思います。大事なことは「模型を咬合器に付着すること」「筋触診をすること」を基準として行っていくことだと思います。
 
IPSGでは咬合の診査・診断をする際に大切にしている10のポイントがあります。基本的にこの10のポイントで身体・咬合・顎関節の3つの点をきちんと診査・診断出来る様になっています。

咬合診査の大切なポイント

私が学生の頃、治療前に診査・診断は大切だということを大学の先生に言われていましたが、その方法は教えてもらえなかったので、どこを診ればいいのかということがとても曖昧でした。以前の私と同じように今現在、診査・診断の基準がなく診療をされていて、どうしたらいいかと困られている先生は多くいらっしゃるのではないでしょうか。

IPSGでは学んだ診査・診断をする際の10のポイントを明確に設けており、その通りに診査・診断を行えばIPSG代表の稲葉繁先生と同じとは行かなくても同じくらいの診断をどなたでも出来るようになります。

そして、この研修の目玉は“咬合の診査・診断の10のポイント”を端的に岩田先生から学べることだと思います。また、この10のポイントの説明だけでなく、まとめた資料まで参加された先生方にお配りしています。

咬合の診査・診断の10のポイント

例えば、配布資料からの抜粋ですが、ポイント7には“顎口腔系の力は3級の梃”が記載されています。この3級の梃を意識した歯科治療を行い、1級や2級の梃となる咬合にならない様に治療をするということが書かれています。

1から10のポイントを1つずつ丁寧に説明されていたので、咬合について初めて学ぶ、咬合を体系立てて学んでみたいという先生方にはとても素晴らしい研修だと感じました。

基準立てて咬合の診査・診断をすることでより良い診療が可能になると同時に、最善の治療をお願いしたいと望まれる患者様には大変喜ばれるのではないでしょうか。

私の経験ですが、患者様へ咬合器を使った説明をさせていただくと、“こんな丁寧に説明されたことないし、咬合器(噛み合わせをみる器械)なんて使った治療をされたことがない”などおっしゃる患者様が多くいらっしゃいます。つまり、きちんと診査・診断をすることで患者様の信頼関係を結ぶきっかけにもなるのではないかと思います。

午前中は“咬合の10のポイント”を中心に咬合理論をお話いただきました。そして、午後から実際の咬合器のハンドリング、中心位の取り方、側方チェックバイトの取り方を実際に受講された先生方に実習して頂きました。

午後の実習

午後は午前中に学んだ事の中で大切な3つ(フェイスボウ、中心位と側方チェックバイトの採得)の実習でした。
実際にオスカー君を使用してフェイスボウの説明をしていただきました。

フェイスボウで特に大切なポイントは次の3つです。①正中を意識する事、②カンペル平面に平行な事、③瞳孔線に平行である事です。この3つを意識することでより正確なフェイスボウが行うことが出来る様になります。
 
その後、受講生全員にオスカー君を使ってフェイスボウを実際に行っていただきました。実際に行ってみると難しいと思われた先生もいらっしゃるようでしたが、実際の臨床で行っていただければ2、3分で行えるようになると思います。

また、中心位と側方チェックバイトの採得のデモ実習をし、同じように受講生にも行って頂きました。
その後、フェイスボウと中心位と側方チェックバイトを用いた咬合器への模型の付着の方法と、咬合器のハンドリング実習を行いました。

多くの受講生が半調節性の咬合器を使ったことがないということでしたが、今回の実習を通して半調節性咬合器の大切さやその使い方を少しでもご理解いただけたと思います。

その後、模型を使用して審美の分析も行って行きました。模型上に、歯列の分析に使用するCF lineを初めとする3つの記入線や、審美の分析に使用するF.R.Cなど5つの線を実際に記入していただきました。

審美の分析というと色の分析などありますが、形を調べるために記入する線もきちんとあります。今回は審美や歯列を分析する線まで実習をさせていただきました。
また、咬合器を用いた模型上の咬合調整のCRとCOのズレの調整方法も説明されておりました。

IPSGではこの一連の作業を4日間かけて行う咬合診断実習があります。今回は特に大切なところだけを実習して頂きましたが、4日間実習では受講生の先生方が相互で印象採得から咬合器付着、咬合の診査・診断まですべてご自身で行っていただく研修です。(咬合診断アドバンス実習コース:日程近日公開予定)

素晴らしい資料とスライドで講演していただけたのでとても分かりやすい研修であったと思います。岩田先生ありがとうございました。

レポート:佐藤孝仁先生

咬合認定医コース開催のご案内

IPSG咬合認定医コース
IPSGでは、歯の治療だけに注目せず、歯科医師が担っている「恒常性の維持」の1つである食物摂取系を支える歯科医療を目指しています。

そこでこの度、IPSGが強みとしている「咬合」に特化し、将来の包括的な歯科医師の輩出を目標に、咬合認定医コースを開始することとなりました。

ぜひこの機会に「咬合」を学んで頂いてはいかがでしょうか?
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※残席わずかとなっておりますので、お申し込みはお早めに

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