’17 11/19(日)『咬合認定医コース第5回』開催されました

2017年11月19日に行われました、第5回咬合認定医コースの模様をレポートさせていただきます。

講義に先立ちまして前日の18日に稲葉繁先生の自宅にてキノコパーティーが催されました。

稲葉先生ご自身が収穫された様々なきのこを使ったお鍋を囲んでの楽しいひと時となりました。

受講生の先生方だけでなく、昨年の第Ⅰ期咬合認定医コースを受講された先生方も参加していただきました。





セミナー当日は、筋機能療法を中心に、摂食、咀嚼、嚥下についての講義内容となりました。

IPSG咬合認定医コースの中でも、咬合、顎関節、テレスコープと同様に重要視されている分野であり、かつあまり他の研修会でも見ることが少ないものです。

嚥下という範囲にまで及ぶ知識は体の内部にまで関係するものであり、今後の歯科医院経営において非常に有効なカテゴリーの1つとなるものだと思われます。

まず初めに、IPSG代表稲葉繁先生より、筋機能療法の基礎と臨床というテーマで講義していただきました。


歯科医療において歯を治すということだけでなく、食べて、咀嚼をして、飲み込むという機能を治すことは非常に重要です。

現在の歯科医療は、歯科という名前に縛られてしまい、もっと範囲を広げて顎口腔系の治療をするべきであるとのことです。

全身の中での歯科の役割を考えることが重要です。

そもそも顎関節を考えての治療を行っている歯科医師も少なく、そういう教育の充実が急務です。

全身のことを勉強した上で歯科のことを勉強することでより深いものができます。

歯の形態ばかりに気をとられることなく、機能を学ぶことが重要です。

そして、子供が産まれてから成長し、幼児、成人、老人になり命を全うするまでライフステージに応じた歯科医療を行うことが重要です。

次に誤嚥と誤飲の違いについて解説されました。

食べ物を飲み込んだ時に、食道に入らずに気管に入ることを誤嚥と言います。

食べ物ではないものを誤って飲み込むことを誤飲と言います。

ピンピンコロリで健康寿命を延ばすためには、高齢者における誤嚥性肺炎をなくすことが重要で、そのためには正しい摂食、咀嚼、嚥下機能が必要です。

稲葉先生は40年以上前に舌の機能に興味を持たれ、それを正常に戻すことが歯科の領域であると考えていらっしゃいます。

歯列は、外からの口の周りの口腔周囲筋と、中からの舌の力との間にできてきます。

正しい舌の力がないと、正しい歯列もできてきません。

舌という筋肉はオトガイを起始部として、そして正しい停止部は口蓋の口蓋雛壁です。

そこに舌をしっかりつけて嚥下をすると、そこに筋肉で押し付けるので下顎が後ろに戻ります。

しかし、歯と歯の間に舌をもっていく人がいます。
舌突出癖といい、そうすると舌によって歯並びができるので開口となります。

開口になると前歯の誘導がなくなります。
臼歯で誘導し始めると臼歯が干渉し始めて、顎関節が悪くなります。

ということで、舌と顎関節との関係は深いということになります。

正常な口腔機能の獲得のために、良好なかみ合わせの育成、舌と口腔周囲筋による正しい歯列の形成、正しい嚥下、発音機能が必要であるとのことでした。

またそのようにする為には舌と唇、口腔周囲筋の育成が必須であり、しかし歯と歯列が出来上がったところから歯科の治療が始まると考えられている今現在の歯科医療では、ここのところが最も足りないところです。
  
稲葉繁先生によると、昔の化石の頭蓋骨を見てみると、歯列不正、反対咬合というものがほとんどなく、その理由は現在のように哺乳瓶が無かった為ではないかと考えられます。

歯列不正の原因として、赤ちゃんが哺乳をしたときに母親の乳首とは全く違う形のものを使っていることが考えられます。

哺乳瓶によってミルクが出てきすぎることを防ぐために、赤ちゃんは舌でそれを止めようとして舌吐出癖ができその影響で異常嚥下癖となり、開口、歯列不正となります。

犬歯が外に出て歯列がちいさくなり、オメガ型の歯列になってしまいます。

そうすると、平衡側での干渉が起こってくるのです。

海外ではみんなおしゃぶりを使用しています。

これは口腔機能を育成する為にやっています。

大きくきれいな歯列を形成するために行っているのです。

正しい舌の使い方ができているか否かの判断基準として、口蓋雛壁を常に見るということを習慣づける必要があります。

正しく舌が使われていないと、ぶよぶよ肥厚した口蓋雛壁になります。

重要なのは咀嚼歯肉を活性化させることです。


午後からは、IPSG会長飯塚能成先生による講義が行われました。


最初に呼吸と嚥下のメカニズムを解説され、各種筋肉の動きや食べ物が口から入って舌によって食道に運ばれる様子をイラストで説明されました。


次に、実際に受講生の先生方に嚥下実習を経験していただきました。

実際にストローを使うなど様々な状況で水を飲むことによって、嚥下という動作を意識することができました。


また、嚥下の定義や、正しい呼吸法を学ぶことによって、鼻のフィルターを通すことによる酸素吸収率の増加など、鼻呼吸の大切さを認識できました。

口呼吸による肺炎や歯肉炎などの弊害もあります。

午前中にも稲葉繁先生よりお話のあった、授乳から始まる口腔育成についても、詳しく解説されました。

授乳とは、赤ちゃんが生涯使う機能を身につけるための大切なトレーニングの始まりであるとのことです。

又、おしゃぶりは、授乳運動を応用した口腔機能トレーニング器具であり、鼻呼吸と嚥下をトレーニングすることができるものです。

次に高齢者の口腔機能として、オーラルフレイル、口腔機能低下症、口腔機能障害について説明されました。

低舌圧、嚥下機能低下、舌・口唇運動機能低下、口腔乾燥、口腔不潔、咬合力低下、咀嚼機能低下、の7項目の内3項目が低下すれば口腔機能低下症と診断されます。

嚥下機能低下に関しては、老化に直結するものであり、歯の欠損、筋力の低下、肺活量の減少、口呼吸、唾液量の減少などがその要因となります。

肺炎の原因の7割を占める誤嚥性肺炎の予防ポイントや注意点を教えていただきました。

その後、皆さんに数種類のおしゃぶりやエントレを口に含み、実際に体験していただきました。


エントレとは、筋機能療法のための訓練器具であり、高齢者の口腔機能アップトレーニングや、口腔機能障害者の口腔機能訓練、口腔周囲筋の筋力アップなどに用いられます。

次に、エントレを臨床上ではどのように使っているかの紹介がありました。


エントレを行うことによって、子供からお年寄りまで、様々な症例の改善が見られ、口腔機能だけでなく、全身の症状に変化が起こることが驚きでした。

最後に、稲葉繁先生と飯塚能成先生への質問時間が設けられ閉会となりました。

(レポート/ Weber Dental Labor 石川 太一)

<<受講された先生方のご感想>>

▼筋機能療法は高齢者に限らず、補綴治療等と同様に必要なものと思いました。

▼歯科医師の仕事についての可能性に気づくことが出来ました。
小児〜高齢者まで活用できる貴重な講義を受けることができました。有難うございました。

▼舌に対する意識が変わった。
子供に使用したい。鼻呼吸のトレーニングとして。

▼今まで考えたことの無い分野だったので全てが勉強になりました。
又、実際の治療にも応用できるので実践していきたいと思います。

▼鼻呼吸にすることでアトピー、喘息も改善されていることに感激しました。
ぜひ利用したいと思います。

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