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Q:テレスコープ・デンチャーの設計について、アドバイスをいただけたらと思います

Q.テレスコープ・デンチャーの設計について、アドバイスをいただけたらと思います
患者さんは85歳の女性。下顎、37番歯のみ残存。
下顎顎堤はプアで、むしろ着脱方向決定の障害になるようなアンダーカットは観られない。上顎は、それなり・・・ その場しのぎの治療が繰り返された結果、咬合平面は右下に傾き、咬合彎曲はまるでジェットコースターのレールのよう・・・

現在、上下顎とも新義歯を作製すべく、旧義歯を改造して上顎義歯床縁の延長、咬合挙上、咬合平面や顎位の修正などを行っています。
さて新しい下顎義歯の維持装置ですが、コーヌス・テレスコープクラウンとレジリエンツ・テレスコープクラウンのどちらがよろしいでしょうか?

対合が総義歯であることを考えると粘膜負担となるレジリエンツが適当かと思うのですが、一つ気になるのが着脱方向が極端に制限されること・・・この、全方向遊離端となる支台歯の配置においては、もはやコーヌス支台歯の歯根膜の影響は無視できるのでは?
むしろ着脱方向に融通のきくコーヌスの方が、このお歳のお婆ちゃんには、優しいのではないかと思い、質問させていただきました。
テレスコープ・システムのノウハウをたたき込まれたはずの自分が、このような質問をすると稲葉先生に怒られてしまいそうですが、アドバイスいただければ幸いでございます。
突然の勝手なお願いで誠に恐縮でございますが、何卒よろしくお願いいたします。

A.
ご質問いただき、ありがとうございます。
テレスコープシステムは歯周病の患者様に非常に効果的です。

なぜなら、内冠により歯を全体的に一次固定ができるからです。外冠での2次固定でさらに強化されるため、動揺がかなり進んでいる患者様にも適応できます。
さらに、抜けてしまうことも想定し、バーの設計もします。
抜けてもいいようにあらかじめ想定しておくのです。

ご存知のように、歯牙は縦方向よりも横揺れに弱いです。
歯周病の患者様の歯にクラスプをかけてしまうとあっという間に歯を抜いてしまいます。

私は33年前にテレスコープシステムを日本にもってきてから、たくさんの患者様の義歯を作ってきました。
33年の間には患者様の口腔内には様々な変化があります。
それぞれに修理をしながら対応してきました。

テレスコープシステムを入れた時の状態が一生続くわけではありません。歯周病にもなるし、残念ながら抜歯をするケースもあります。
しかし、テレスコープは可撤性というところが強い特徴の一つ。
抜歯しても修理して使うことができるのです。

歯周病の方への対応は、出来る限りすべての歯を使い、固定することです。
そして、定期的なメンテナンスは必須です。衛生士による管理はその後、長く使っていただくためにも非常に大切です。
テレスコープで治療された方は、装着してから、また長いお付き合いになると思っていただければと思います。

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