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Q:トーマスノッチとは、何のためにつける付与形態なのでしょうか?

Q.トーマスノッチとは何のためにつける付与形態なのでしょうか。
稲葉先生の考えをお聞かせいただきたいと思います。
A.トーマスノッチとは、元来これは天然歯には存在しないものです。
有名なピーター・K・トーマスのワックスアップに付与する形態です。

このワックスアップの方法は1950年代にエベリット・V・ペインが人の歯の発生の順序に従って形態を作って行くワックスアデッドテクニックがオリジナルです。

これを後にピーター・K・トーマスがワックスコーンテクニックとして世界中に広め、ナソロジーのワックスアップの手法として使われました。

このワックスアップの手法はオルガニックオクルージョンとして合理的な咬合の与え方があります。

上下の歯の接触形態は1歯対1歯の咬合を与える事と天然歯には無い2つの特徴の一つとしてスチュアートグループがあります。

スチュアートグルーブとは、上顎の第一大臼歯の舌側咬頭の内斜面を、対合歯の咬頭頂が中心窩から平衡側の運動で斜め前方へ動いて行く時に干渉しないように溝を形成するもので、対合歯がスムーズに通り抜けるようにしておく、この時の溝のことです。

もう一つ、ピーター・K・トーマスが付与形態として与えているのが、『トーマスノッチ』です。

これは上顎第一小臼歯のスタンプカスプは中心咬合位で下顎第一小臼歯の遠心窩に入ります。

この時上顎第一小臼歯の頬側三角隆線が接触しています。(IPSG咬合診断実習コースのテキストより)

この時作業側の運動で干渉する事が多く上顎第一小臼歯を動揺させてしまう危険がある為あらかじめ下顎第一小臼歯の遠心斜面にV字状のノッチを彫り込んでおき、そこから僅かに頬側に溝を彫り込んでおきます。

このように、作業側でスムーズに離して負荷を和らげる事を目的にしているテクニックが『トーマスノッチ』です。この場合上顎頬側咬頭の審美性も加味し、これを削除するかどうかも検討します。

何にしても歯を守る為には中心咬合位では臼歯が接触し、一旦顎が動けば前歯が誘導する事が重要です。

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今年は終わってしまいましたが、毎年開催される『咬合診断実習コース』ではトーマスノッチを含め、スチュアート、ギシェーの咬合調整法などを詳しくご説明させていただきますので、もしご興味があれば、IPSG事務局までお問い合わせください。

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